smoke tree

「夫婦になると花じゃなくて、木を選ぶんだよなー」
胸に金バッジをつけてもらったような気持ちになって誇らしげな顔にさせてくれる言葉でした。
花屋のご主人はずっと優しい笑顔で話してくれました。

もう14年も前のはなし。
その花屋が見えてくると、わたしのこころの中にひとつのあぶくが浮かび上がって、通り過ぎるころにはぱちんとはじけて消えてしまう。職場のアンティーク屋へゆく道の途中にその花屋はあったのでどきどきのあぶくは日々浮かび上がってはぱちんとはじけていたのでした。透明人間になれたらぎゅるの横をするりとぬけて見たことのない花をじっくり覗き込んだり、鼻のなかに花の香りをいっぱい集めたり、背の高い円柱のガラスに活けられた花の茎を観察したり、水辺に咲いているように美しい顔をした花々を目でなでたり‥と想像しながら。

おつきあいしているころ彼はその花屋でえらんでくれました。

ことしで7年目のスモークツリー春をすぎるとすっかり新しい葉を広げます。そして、花が咲いてそのあと‥もじゃもじゃのふわふわになります。秋には葉が紅葉するのだけど赤が「赤!」になります。秋にお見せしたいと思います。

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